感情と裁判は別物?明らかにクロなのに証拠不十分と判断されるもの

間違いなく夫が不倫をしている。
証拠も揃っているし、このまま裁判をしても間違いなく有利になる…と思っていたのに、慰謝料請求が認められず、逆に刑事告訴された!?
これは「個人間の話し合い」と「裁判」を区別して考えていなかったため、失敗した典型例です。
感情的になって客観性を見失うと、致命的なミスに繋がりかねません。
今回は、うっかりやってしまいがちな「明らかに不倫の証拠」なのに、裁判では認められない証拠の例を紹介します。
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LINE/メールのスクリーンショット
芸能人などの不倫報道で流出画像として見かける事がありますが、これだけでは裁判では証拠不十分とされる事が多いです。
その理由は以下の2点。
- ■入手方法が違法と判断される
- ■偽造が安易
個人間の話し合いであれば相手の責任を追求する材料にはなりますが、裁判では違法に入手した(この場合、夫のスマホを勝手に見た)証拠は認められない事が原則です。
また、最近では画像編集ソフトを使えばLINEのスクリーンショットの偽造も簡単に可能。
メール程度であれば、スマホを2台用意するだけで簡単に偽造できるので、近年「物的証拠」という意味では弱くなっている傾向にあります。
他の証拠と併せて使えば物的証拠を裏付ける材料にはなりますが、単品では証拠能力としては不十分だと言えます。
逆に言うと、意図的にLINE画像を偽造してアリバイを作ったり、相手を陥れる材料になりかねないため、公正な場では使用する事ができません。
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友人・知人の証言
目撃情報は不倫調査のきっかけとしては最も多いですが「目撃した」だけでは証拠とは言えません。
もちろん、個人的な話し合いでは有効かもしれませんが、裁判の場では「物的証拠」を示すのが前提条件です。
もし「他人の空似」と言われてしまえばそれまでの話。
水掛け論になってしまうと、裁判の席では証拠不十分…と判断するしかありません。
また、良し悪しは別にして「アリバイ会社」というのも実在し、不倫の証拠を隠蔽する方法も依然として存在します。
もちろん「物的証拠」を抑える事ができれば、作られたアリバイを崩す事は簡単です。
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不法に仕掛けたGPSやレコーダー等のデータ
裁判の原則は法令遵守です。
そのため、明らかに違法行為を行って集められた証拠を認めるわけにはいきません。
例え、夫のカバンにGPSを仕掛けラブホテルに入ったデータを入手したり、不倫相手の家に盗聴器を仕掛け、会話や不貞行為を行っている状況の録音に成功したとしても、裁判では不倫の証拠として採用されません。
それどころか「つきまとい/ストーカー規制法」「住居不法侵入」等で逆に訴えられる可能性も高くなります。
これらも個人間の話し合いでは有効な証拠にはなりますが(違法行為なので推奨はしませんが)裁判では無効と判断されます。
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裁判で認められないと何が問題なの?
不貞行為の事実を突き止め、相手に謝罪を求めるだけなら不確定な状況証拠だけでも話し合いは可能です。
場合によってはあっさり自白をする事もあるので、責任追求まで考えていない…というのであればそれでも良いでしょう。
しかし、裁判で白黒を付けよう…となると話は変わってきます。
責任の所在を明確にし、公的な手続きを行うためには一方的な主張だけを採用するわけにはいきません。
つまり、無関係な第三者が見ても明らかな状態にする必要があり、主観性よりも客観性が優先されます。
これはそのまま慰謝料の額や宣誓書の内容に直結します。
どちらも法的に一定の拘束力を保つため、裁判所もむやみに判断や命令を出すわけにはいかないからです。
物的証拠が不十分のまま裁判に臨むと、どうしても不利な面が出てきてしまい満足のいく結果に結びつかないでしょう。
そのためにも、不倫の証拠は「確実な物的証拠」を冷静に、かつ数多く集める事が大事になってきます。